【怖い話】首刈り地蔵

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死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?268より

984 :本当にあった怖い名無し:2011/06/13(月) 12:47:46.40 ID:DTKcuH0/0
小学生の頃、両親が離婚し、俺は母親に引き取られ、母の実家へ引っ越すことになった。
母の実家は東北地方のある町でかなり寂れている。
家もまばらで、町にお店は小さいスーパーが一軒、コンビニもどきが一軒あるだけ。
その町の小学校へ通うことになったが、全学年で20人弱、同級生は自分を含めて4人しかいなかった。

越してきて1年半ほど経ったある日、一学年上の子にいじめられるようになった。
原因はなんだったか思い出せない。まぁたいしたことじゃないと思う。
とにかくその子のことが大嫌いで、いなくなって欲しかった。
その時、首刈り地蔵のことを思い出した。
首刈り地蔵のことは、越してきたときに、じいちゃんに教えてもらった。
小さな公園の奥の林の中にある、首のない3体のお地蔵様。
「絶対にお供え物をしてはいけない」と言われた。
理由は教えてくれなかったが、越してきてしばらくして同級生に教えてもらった。
このお地蔵さまにお供え物をして、「○○を殺してください」とお願いすると、その相手を殺すことができる。

985 :本当にあった怖い名無し:2011/06/13(月) 12:48:56.97 ID:DTKcuH0/0
首刈り地蔵にお願いしよう。そう思った。
週1回のお弁当の日。おにぎり2つを食べないで我慢して、学校の帰りに首刈り地蔵にお供えし、お願いした。

その日の夜、寝ていると足音が聞こえた。ガチャ、ガチャと鎧を着て歩いているような音。
「足りない」
そう聞こえた。ああ、そうか。お地蔵様は3体だった。おにぎりがひとつ足りなかったか。

翌朝、おにぎりを一つ持って登校した。
登校途中にある首刈り地蔵のもとへ行くと、2つのおにぎりはそのままある。
持ってきたおにぎりをお供えしようとすると、
「こんのクソガキが!なにやってんだ。」と怒鳴り声が聞こえる。
後ろから顔見知りのおじさんが走ってきて、おもいっきり殴られた。

986 :本当にあった怖い名無し:2011/06/13(月) 12:49:28.58 ID:DTKcuH0/0
引きずるように自分の家に連れて行かれ、じいちゃん、ばあちゃんに怒鳴り声でなにか言い帰っていった。
夕方になるとたくさんの大人が家へやって来た。じいちゃん、ばあちゃんはとにかく謝っている。
東北弁がきつく何を言ってるかわからなかったが、俺も一緒になって謝った。
とにかく大変なことになってしまったらしい。

何日か話し合いがされ、うちは村八分ということになった。
首刈り地蔵にお供え物をした一家は村八分。昔からそうらしい。
実際、村八分がどういうものか知らないけど、それ以上だったかもしれない。
うちの人間とは一切会話が禁止され、スーパー・コンビニで何も売ってもらえなくなり、
母は町の病院で看護師をしていたが解雇され、俺は学校に通わせてもらえなくなった。
母と一緒に町役場に抗議しに行ったが、話を聞いてもらえない。
どうにもならない。ここではとても生きていけない。

987 :本当にあった怖い名無し:2011/06/13(月) 12:50:02.91 ID:DTKcuH0/0
東京にでも引っ越そうと話したが、じいちゃん、ばあちゃんはここを離れたくないという。
生まれてからずっとこの町で過ごしてきた。死ぬ時もこの町で死にたいと。
自分たちは大丈夫だから二人で東京へ行きなさいと。
母はかなり心配していたが、ここにいては俺は学校へ通えないし母も働くところがない。
生活がまともに出来ない。
母と俺は東京へ引っ越すことにした。

実家にはまめに電話をし、食品など荷物を送っていたが、
しばらくして、電話線を切られたらしく電話が通じなくなった。
町に買い物に出たときに公衆電話でこっちにかけてくる以外は、手紙が連絡手段になってしまった。
帰省した時電話線を直そうといったが、じいちゃん達はこのままでいいという。
たぶん他にも何かされていたと思うけど、
何かすべてをあきらめているというか、受け入れているというか、そんな感じだった。

988 :本当にあった怖い名無し:2011/06/13(月) 12:50:36.18 ID:DTKcuH0/0
それから何年か経ち、俺は高校に入学した。
高校生になっても、あの町のことが頭にあった。
とんでもないことをしてしまったとか、じいちゃん達に悪いことをしたとかいう理由ではなく、
あれ以来、あの足音と声が未だに聞こえるからだ。
別になにか起こるわけじゃない。ただ聞こえるだけ。
それでもやはり不気味でいい気分じゃない。

ある日、運送会社から電話がかかってきた。
実家に荷物を送ったが、何度行っても留守だと。
嫌な予感がした。というよりも、半分ぐらいそうなんじゃないかと思っていた。
何かあれば電話をしてくるはずなのに、何度行っても留守。
すぐに実家に行くことになった。

家についたのは夜遅くなのに、家に明かりはない。玄関を叩くが応答がない。
玄関は引き戸で簡単に外すことができる。ドアを外し、一歩家に足を踏み入れた瞬間に確信した。
ものすごい腐臭がする。母を見ると少し嗚咽を漏らし震えていた。

989 :本当にあった怖い名無し:2011/06/13(月) 12:56:13.68 ID:DTKcuH0/0
中に入り明かりをつける。どこだろう。寝室かな?玄関を入り右へ進んだ突き当たりが寝室だ。
寝室へ行く途中の左の部屋のふすまが開いていた。仏間だ。
ちらっと見ると、ばあちゃんが浮いていた。首を吊っている。
じいちゃんは同じ部屋で、布団の中で死んでいた。
母は子供のように泣いた。

とりあえず外に出ようと言っても動こうとしない。
警察を呼ぼうとしたが、まだ携帯が普及し始めた頃でそこは圏外だったので、最寄りの交番まで歩いて行った。
じいちゃんは病死、ばあちゃんは自殺と警察から説明された。
じいちゃんの後を追ってばあちゃんが自殺をした。そういうことらしい。
葬儀はしないこととし、お坊さんを霊安室に呼んでお経を上げてもらい火葬した。

家に帰る日、写真などを持って帰りたいから、実家によってから帰ることにした。
財産はこの家以外に何もないから、相続しないらしい。

990 :本当にあった怖い名無し:2011/06/13(月) 12:58:38.77 ID:DTKcuH0/0
この町に来るのはこれで最後。
母がいろいろやっている間、俺はなつかしい道を歩いた。学校へ登校する道。

公園でブランコに乗りながら考えた。
どうしようか。もうこの町と一片の関わりも持ちたくない。
このまま帰ったほうがいいか。でもあの足音と声がある。
そうすることこそが、この町との関わりをなくすことなんじゃないかと思った。

林の中へ入り、首刈り地蔵へ持ってきたおにぎりをひとつお供えした。
何を願おう。誰を。すぐに思いつく名前はなかった。俺は誰を殺したいんだろう・・・
この町の人間全員を殺してください。そう願った。

公園の方を向くと、5、6人の人がこっちを見ていた。
見知った顔もある。向こうも俺が誰だかすぐに分かったと思う。
俺が近づいていくと目を逸らし、誰も何も言ってこなかった。
俺も何も言わず無言ですれ違った。

足音と声は聞こえなくなった。
あの町の人達がどうなったのかはわからない。

死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?268

127 :本当にあった怖い名無し:2011/06/14(火) 07:08:56.17 ID:N8EcXG5B0
最後の首刈り地蔵の話、もっと詳しく聞きたいんだがもういないかな?

132 :本当にあった怖い名無し:2011/06/14(火) 08:53:54.70 ID:daPkTyoo0
>>127
首刈り地蔵の話、なかなか面白かったよね。
スレの終盤でレスつけられなかったのが残念だが。

140 :本当にあった怖い名無し:2011/06/14(火) 12:29:24.27 ID:TW6exZfd0
>>127>>132
首刈り地蔵を書いたものです。
首刈り地蔵については、母に由来を聞いたことがあるくらいです。
母が子供の頃に聞いた話を十年以上前に聞いたので、細かいところはわかりません。

おじいちゃんが生まれるよりもずっと昔。
首刈り地蔵は、もともと首なし地蔵と呼ばれていたそうです。
なぜ首がないのかはわかりません。
とにかくそんな不気味なお地蔵様だから、誰もお供え物をして手を合わせる人はいなかったそうですが、
一人だけ男の人が毎日お供え物をして拝んでいました。

ある日、その男の人が殺されてしまいます。
犯人は結局見つからなかったそうですが、その男の人の母親は諦められず、
息子に代わり毎日、首無し地蔵にお供え物をし、息子を殺した犯人を殺して欲しいとお願いしたそうです。

141 :本当にあった怖い名無し:2011/06/14(火) 12:33:01.50 ID:TW6exZfd0
何日か経ち、また二人の死者が出ました。
一人は首をしめられて、もう一人は首を切られて殺されていました。
普通なら連続殺人だと思うんですが、この町の人達は、
殺された二人があの男の人を殺した犯人で、母親の願いにより首なし地蔵に殺されたと信じました。

それ以来、首無し地蔵にお供え物をして拝む人が増え、何人かの人が亡くなりました。
それによりいつの間にか、首無し地蔵は首刈り地蔵と呼ばれるようになったそうです。

このままじゃいけないということになり、首刈り地蔵にお供え物をすることは禁止され、
お供え物をした一家は村八分ということになったそうです。

俺が知ってるのはこれだけです。

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