【怖い話】パンク

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死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?227より

264 :本当にあった怖い名無し:2009/09/08(火) 07:25:24 ID:PG+tx3z6O
携帯からで申し訳ないんだけど、紛れもない実話。 
昔、当時の彼女と同棲してた時の話。 

同棲に至った成り行きは、彼女が父親と大喧嘩して家出。 
彼女の父親は大工の親方してる昔気質。 
あまり面識はなかったが、俺も内心びびりまくりの存在だった。 
仕方ないから、彼女と俺の有り金かき集めて、風呂無しぼろアパートで同棲。 
しかし最悪のアパートで、ゴキブリは出るし、畳は湿気ですぐ腐るし、
上の階に住むバンドマン風の若者は毎晩大声で歌の練習するし、隣に住む老人は薄気味悪いし・・・

まぁそんな最悪な環境にも、だんだん適応しながら同棲生活を送り、
俺は建築現場でバイト、彼女はカラオケボックスの夜勤で生計を立てていた。 

住み始めて半年くらいして、変なことがおこり始めた。 
ある朝、バイトに行くために自転車に跨ったんだが、違和感を覚えてタイヤを確認するとパンクしていた。 
その日は歩いて仕事に行き、休日に自転車屋に行って修理してもらった。 
その店でのパンクの修理は、タイヤに穴が多い程金額が上乗せされるんだが、
確か5~6箇所は穴があいてたと思う。 
自転車屋に「誰かのイタズラだろうね」って言われた。 
クギか何かで刺したらしい。

それから、風呂無しアパートなんで、毎晩彼女と近くの銭湯に通っていたんだが、 
自転車の二人乗りで銭湯まで行って、風呂入って、また二人乗りで帰ってくる。 
ある日の銭湯からの帰り、二人で銭湯の前に止めてある自転車まで来てサドルに座ると、また違和感が。
案の定、パンクしてた。 
後日、自転車屋さんに修理してもらうと、また凄い数の穴があいていた。 

また別の日、彼女が自転車に乗って一人で夕飯の買い物に行った時も、買い物中にパンク。
重い自転車を押して帰宅。 

他にも、二ケツで駅まで行って、自転車を駐輪場に止め、電車で遊びに行った時も、
遊び終えて駐輪場に戻るとパンク。いずれも多数の穴。 

そんな事が定期的に続き、パンク修理のしすぎでタイヤがボコボコになってしまい買いかえ。
最後の方はもう3台目くらいの自転車になってたかな。 
自転車屋曰わく、
「タイヤごと外して新品のタイヤに変える作業に費用払うのと、安い自転車買うのとでは、
 金額的にあまり変わらない」
って事だったんで、タイヤがボコボコになって乗れなくなったら買いかえていた。

265 :本当にあった怖い名無し:2009/09/08(火) 07:28:01 ID:PG+tx3z6O
それにしても、無差別のいたずらにしては被害に遭う回数が多すぎるし、
ストーキングでもしない限り、こんなに何度も何度も俺たちの自転車を狙えない。 
俺も彼女もイラつきのピークだった。
二階のバンドマン、隣の部屋の薄気味悪い老人。誰もかれも疑って疑心暗鬼。 

極めつけが、レンタカー借りて、二人で遠くまで旅行に行った帰り道での事。 
高速道路のサービスエリアにあったレストランで夕食を食べた。 
食べ終えて車に乗り込み・・・ん?と、また違和感を覚えた。 
何かこの車、傾いてない?
車から降りて恐る恐るタイヤを確認すると、右前後二つのタイヤがパンク。
この時ばかりは彼女も俺も、怒りよりも恐怖を覚えた。 
犯人は俺達の旅行の予定まで知っていて、タイヤをパンクさせる為に高速にまで乗る。 
いったいどんだけ恨まれてるんだよ俺達、と。

盗聴器を疑い、部屋中のコンセントを分解した事もあったが、それらしき物は何もなかった。 

267 :本当にあった怖い名無し:2009/09/08(火) 07:31:39 ID:PG+tx3z6O
そんなある日、建築現場のバイト中に俺は怪我をした。不注意でクギを思いっ切り踏んでしまって、病院へ。 
クギが錆びていた可能性もあるって事で、結構な事態になってしまった。 

家に帰り、彼女に一連の事を話した。 
彼女は俺の傷を心配した後に、何かに気付いて急に暗い顔に。 
しばらくして、暗い顔のまま言った。
「●●君がもしタイヤだったらパンクしてたね・・・」
俺もそれを聞いて、初めてこの怪我と一連のパンクを結びつけた。それまで考えてもいなかった。 
しかし万が一、俺の怪我も一連のパンクと関係あるとしたら、犯人はもはや人間ではないのでは? 
そうなったらもう呪いや悪霊の類だ。
彼女は今にも泣きそうな顔をしてる。 
「考えすぎだろ」と俺は言った。言ったものの、内心怖くて仕方なかった。 

嫌な事ばかり考えてしまう。例えばこのぼろアパートが呪われてるのでは?とか。 
けど、一番怖いのは、彼女に被害が及ぶ事。俺は今回怪我をしたが、幸い彼女の身にはまだ何もない。 
数週間考えて、話し合い、彼女は家出した実家へと戻る事になった。 
一人でこのぼろアパートに住むのは怖かったが、俺の実家は遥か地方だし帰れない。
新しいアパートを借りる余裕もない。足の怪我でろくに仕事もできない。仕方なかった。 

しかし意外なことに、彼女が実家に帰ってから、なぜか自転車のパンクは全くなくなった。 
同棲生活は終わっても彼女との交際は続いていたし、彼女も首を傾げていた。 

それからは何事もなく月日が経っていったが、ある日、葬式があった。彼女の父親の葬式。
その葬式の時に、彼女と彼女の母親と俺の三人で話す機会があり、その席で妙な話を聞いた。 
死んだ父親は、俺の事を相当憎んでいたらしい。
大事な娘を奪った男、という認識だったようだ。
彼の仕事は大工。大工という仕事は、木材にクギを打ち付ける機会が多い。 
彼は俺への恨みを込めて、木材にクギを打ち込んでいたらしい。 
わら人形にクギを打つように。 
「そうすると気分がスッキリするって、あの人言ってたわ」
そう言って彼女の母親は笑った。 
ブラックジョークのつもりだったのか? 
彼の行動と、自転車のパンクや俺の怪我に因果関係があるとは思えないが、
それを聞いてからは、彼の遺影を直視出来なかった。

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