【怖い話】ハナちゃん

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死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?113より

427 :本当にあった怖い名無し:2005/10/27(木) 15:55:40 ID:mCldIhro0
5年前の話です。
我が家は庭に建て増しをして、家を広くしました。
うちは祖母、両親、兄、妹、私と大人数だったので、部屋が増えてうれしかったのですが、
それから我が家はめちゃくちゃになりました。

父はお酒をほとんど呑まない人でしたが、理由もないのに酒量が増え、
暴力はふるわなかったものの、大声でどなるようになりました。
兄はそんな父がいやで、就職が決まっていたので、会社の寮に入って家を出て行きました。

続いて祖母、妹が家で事故死しました。
妹の遺体を見つけたのは母で、突然のことで辛かったせいか、変な拝み屋のところに通いつめるようになり、
家事をほとんどしなくなりました。

家が広くなってから3ヶ月で、これだけのことが起きました。

428 :本当にあった怖い名無し:2005/10/27(木) 15:56:21 ID:mCldIhro0
私はというと、ずっと夢だ幻覚症状だと、自分に言い聞かせてごまかしていたことがありました。
家を広くしてから、知らない3人家族を、家のあちこちで見るようになったのです。
最初に見たのは庭ででした。
父親らしき男、母親らしき女、子供らしき男の子。
格好は古い感じで、3人で記念写真のように立っていて、
口だけがにやにやと笑っていて、ばかにされてるような感じでした。
いつも私が気づくと、2、3秒経ってから消えます。

そんな中、野良猫が庭に迷い込んできました。
うちは動物を飼ったことがなかったのですが、
私が学校に行く時と帰ってくる時、必ず玄関にいて待っているその猫がかわいくてしょうがなくなり、
父と母の機嫌のいい時に説得し、うちで飼うことにしました。
鼻のところにほくろのような模様があったので、『ハナちゃん』と名づけ、
ハナちゃんの存在は安らげない家の中で唯一の慰めでした。
ハナちゃんが一緒にいる時は、なぜかあの家族を見ることもありませんでした。

429 :本当にあった怖い名無し:2005/10/27(木) 15:56:59 ID:mCldIhro0
2ヶ月くらい経った頃、ハナちゃんは急に死にました。
朝いつも1番に起きるハナちゃんが起きてこないので、部屋を探すと、ハナちゃんは冷たくなっていました。
獣医さんは「心臓麻痺かな」と言ってました。

私はここ3ヶ月に起きたこと、心の拠り所だったハナちゃんがいなくなってしまったことで、
精神のバランスをくずしたのか、全てがどうでもよくなり、
感情を表に出すことなく、毎日を過ごすようになりました。

ある夜、ふっと目を開けると、あの3人家族がベッドの脇に立って私を見下ろしてました。にやにやと笑っていました。
今考えると恐ろしいのですが、その時はもう、勝手にしてよ・・・と思っていました。
その次の瞬間でした。
ものすごい剣幕で怒っている猫の大きな顔が浮かび上がり、父親らしき男に噛みつきました。
家族は驚愕の表情で消えました。
私もこの時はほんとうに恐ろしかったのですが、穏やかに変わった猫の顔を見た瞬間、
「ハナちゃん!!」と叫びました。
鼻の横の模様がはっきり見えたのです。

430 :本当にあった怖い名無し:2005/10/27(木) 15:57:40 ID:mCldIhro0
朝起きると、珍しく母が先に起きていました。
寝ていたら、布団の上から猫の足のような感触でつつかれ、起きてしまったのだそうです。
私は抑えていた感情が一気にあふれ、大泣きしました。
母と起きてきた父を前にして、
「酒を呑んでどなるのは止めて」「拝み屋に行くのも止めて」「こんなんじゃおばあちゃんと妹があの世にいけない」
とにかく泣き叫びました。
さすがに両親もわかってくれたらしく、
父は家のお酒を全部捨てて病院に通い、母は拝み屋に行かなくなり、家事をするようになりました。

そんな時、兄から連絡がありました。子猫を飼ってくれないかというのです。
「寮に住み着いた猫がいて、毎晩駅からの帰り道の途中で自分を待っている。かわいくてほっておけない。
 自分は寮だから面倒みてくれないか」
という話でした。
ハナちゃんには申しわけなかったですが、うちで飼うことにしました。

431 :本当にあった怖い名無し:2005/10/27(木) 15:58:58 ID:mCldIhro0
学校から帰った夕方、1人で家にいた時です。
台所でテレビを見ていると、寝ていた子猫が急に起きて、廊下に飛び出ていきました。
同時に、廊下でバタバタバタ!と玄関に向かって走る音が聞こえました。
驚いて廊下に出ると、子猫が毛を逆立てて玄関に向かって怒っていました。
近づくと「フィギャアアア!!」と猫の怒鳴り声と、「うわあーっ!!」と男の声が響きました。
猫の声は子猫のものではありませんでした。

あの家族を見ることは全くなくなりました。
兄は猫が気になるらしく、よく家に帰ってくるようになりました。
父も母もおかしなところはなくなり、家族で1ヶ月に1度は祖母と妹のお墓参りに行きます。
我が家では、猫はうちの守り神と思うようになったせいか、今は7匹の猫がいます。
子猫も大きくなり、ボスとして健在です。

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