【怖い話】人型焌き

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死ぬ皋排萜にならない怖い話を集めおみない161より

657 本圓にあった怖い名無し2007/03/28(æ°Ž) 07:56:33 ID:Xlj2+LmZO
ある倏の日の話をしようず思う。

その日は、前々から行く぀もりだった近堎の神瀟を蚪ねた。
俺は少々な趣味があり、倉な話や䞍思議な物等が倧奜物だった。
この日も知人から聞いた神瀟に行ったのだった。
知人の話だず、䜕でもその神瀟、倧量のの人圢が安眮されおるらしかった。
俗に蚀う『人圢寺』ず䌌たようなモノか。
だが、有名な神瀟ではなく、報道番組で取り䞊げられた事などは党く無い。そんな堎所だった。
近堎ず蚀っおも車で䞀時間半掛かった。
途䞭山道に入り、揺れる車内で䞀人目的地に思いを這せおいた。

神瀟に着き、車を停めお階段を登った。
結構長い階段で、日頃の運動䞍足からか息を荒げながら、劙な高揚感に包たれおいた。
階段が長ければ長い皋に楜しみが増す気がした。
段差で切れおいた景色から、遂に神瀟が顔を珟す。
立掟な鳥居をくぐり、県前に神瀟を捉えた瞬間 劙な耳鳎りがした。
正盎、こんな気分に成ったのは初めおだった。
自慢じゃないが、俺には霊感なんおモノは無瞁の沙汰だ。
だが、その感芚は本物で臆する凊か逆にダル気が湧いお来た。
なんのダル気かは知らないが 。 

658 本圓にあった怖い名無し2007/03/28(æ°Ž) 08:00:54 ID:Xlj2+LmZO 
早速境内を芋回す。
立掟な神瀟だ。
結構広いし、造りも綺麗だ。
だがやはり、そこには普通じゃ無い光景が広がっおいた。

人圢人圢人圢人圢人圢人圢人圢人圢人圢人圢人圢人圢人圢人圢人圢人

神瀟に治められた人圢達は、治たりきらずに床䞋たで浞食しおいる。
いく぀もの『目』に芋られる様な、突き刺す芖線を感じた。それだけ圧巻だった。
䜙りに非珟実的な光景に暫く心を奪われ る暇は無かった。
正面の倧きな建物 恐らく本殿だろう。
そこから袎姿の人間が慌おた様子で出おきた。
䞀人、隣の建物に走っおいった。
䜕かあったか
䞍謹慎にも『ラッキヌ』ず心の䞭で呟き、人圢が安眮されおる方の、袎の男が入っお行った建物に駆け寄った。
するず、本殿からたた人が二人バタバタず出おきた。
䞀人を捕たえ、䜕があったか尋ねおみた。
「忙しいから、埌にしお䞋さい」
男はそれだけ蚀うず、たたバタバタず人圢の䞭に消えお行った。 

659 本圓にあった怖い名無し2007/03/28(æ°Ž) 08:05:50 ID:Xlj2+LmZO 
䞀䜓䜕なんだ
釈然ずしない面持ちで䜇んでいるず、
本殿からこれたでずは違う、正装ずでも蚀うのだろうかそんな栌奜の神䞻ず思われる人物が出おきお、俺に声を掛けおきた。
「人圢を治めに参られたのかな」
俺は「いいえ、ただ参詣しに来ただけです」ず答えた。
するず神䞻らしき人は悟すように、
「なら垰りなさい。悪い事は蚀わない。今日は郜合が悪い。たた出盎しお来なさい」ず静かに蚀った。
「䜕かあったんですか」
思い切っお尋ねおみたが、神䞻は「関わらない方が良い」ずだけ蚀い残し本殿に垰っおいった。
匕っ越しみたいに隒々しい䞭に、自分は凄く堎違いな気がした。
どうせ人圢は逃げない。
歀凊は神䞻の蚀う通り、改めお出盎すかず思い垰ろうずした時、
ずさっきの䞉人二人最初から建物の䞭にいたのかが出おきた。
棺の様な倧きな箱を抱えおいる。

660 本圓にあった怖い名無し2007/03/28(æ°Ž) 08:08:07 ID:Xlj2+LmZO 
奇劙な䞀行は本殿の裏に消え、埌から神䞻も出おきお、たたもや裏に消えお行った。
ふず気付けば、自然ず本殿の方に歩みを進めおいる自分がいた。
譊告に察する恐怖心よりも、奜奇心が勝っおいた。
歀凊たで来たら芋るしかない。
本殿の脇の道を進んでいく。
道は朚が生い茂り、薄暗く、苔がむしおいる。
少し進むず、前方が開けた広堎の様な堎所に出た。
神䞻達は慌ただしく、なにやらキャンプファむダヌの朚組みの様なものを四方に䜜っおいた。
真ん䞭には、件の箱が䞀番頑䞈そうな朚組みの䞊に眮いおある。
神䞻ず目が合った。
怒られるかず思ったが、別段気にも停めない様子で䜜業を続けおいた。
䜕だか蚱可を貰った気になったので、朚陰から広堎に螏み出した。
䜕が始たるのだろうか
期埅ず䞍安でしながら事の成り行きを芋守っおいるず、芖界に人が映った。 

661 本圓にあった怖い名無し2007/03/28(æ°Ž) 08:12:38 ID:Xlj2+LmZO 
神䞻でも袎姿でも無い。普通のじいさんだ。
俺の右20くらいの所に立ち、俺ず同じように神䞻達をみおいた。
俺はおじいさんに近付き話し掛けた。
「すいたせん。今から䜕かあるんですか」
「人型焌きだよ」
おじいさんは、気さくに答えおくれた。
「今から人圢を焌いお䟛逊するのさ」
「人型焌き ですか」
予想はしおたが、圓たりだ。
今日来お正解だった。面癜いモノが芋れそうだ。
それにしおも䜕でこんな時期に
俺はおっきり、こう蚀うのは幎末ずかの締めにやるモノだず思っおいた。
だが今日は特に特別な日でも無い。
「い぀も芋に来るんですか」
おじいさんに尋ねた。
「い぀も人型焌きが有るわけじゃないからねぇ。い぀もはこんな時期にはしないし、こんなに倧きな人圢を焌くのも初めおだ」
少し間を眮いおおじいさんが答えた。
「今日は特別なんだ」

662 本圓にあった怖い名無し2007/03/28(æ°Ž) 08:17:06 ID:Xlj2+LmZO 
もう䞀歩螏み蟌んでみる。
「『特別』っお䜕かあったんですか」
俺の問掛けに、初めお少しだが衚情が曇った。
地雷を螏んだか ず思ったが、じいさんは暫く考えた埌に口を開いた。
「信じられん話かも知れんが」
そう蚀う話なら倧歓迎である。
「実はな、あの人圢は元々本殿の脇に圚る倉庫に厳重に保管されずったものだ。
 だがしかし、今日の早朝、日振りに神䞻が倉庫の点怜をした時、あの人圢が消えずった。
 神䞻ず神瀟の者が総出で探し、日が明るく成った時にやっず芋付かった。
 䜕凊にあったず思う」
䜕なんだ勿䜓ぶらないで欲しいな。
 ず思いながらも、乗っおやった。
「䜕凊にあったんですか」 

663 本圓にあった怖い名無し2007/03/28(æ°Ž) 08:22:08 ID:Xlj2+LmZO 
「明るくなるたで、だれも気付かんかった。
 それもその筈、人圢は誰が乗せたか本殿の屋根の䞊に眮かれおいた。
 これには神瀟の者も心底驚いた。
 䜕せ人圢はマネキンだ。成人男性くらいはあるマネキンを、高い本殿の䞊に持っお行くのは容易ではない。
 だいいち、悪戯にしおは手が蟌んでるし、あんなにやる理由が刀らん。
 兎も角、考えおおもラチが明かんので、マネキンを䞋ろす事にした。
 だが梯を登っお䞋ろす最䞭に、マネキンを抱えた男が足を滑らせ、マネキンず䞀緒に萜䞋した。
 男は足を折ったらしく、すぐに病院に運ばれお行った。
 男はしきりに『人圢が噛んだ』『人圢に噛たれた』ず蚎えおいた。
 これはいかんず、神䞻が慌おお型焌きの準備をし、今に至る蚳だ」
「随分詳しいんですね」
にわかには信じられない話だったし、完党に疑っおる蚳では無いが、ちょっず意地悪しおみた。

664 本圓にあった怖い名無し2007/03/28(æ°Ž) 08:26:12 ID:Xlj2+LmZO 
「毎朝ここを散歩しおいおね。マネキンを䞋ろす凊からずっず芋おいた」
成皋。

おじいさんの話を聞いおる内に準備は着々ず進み、さぁ火を着けようかず蚀った感じだった。
神䞻さんが突然掛け声を䞊げた。
それに続いお袎姿の男達も䞀斉に呪文お経の様なモノを唱えながら火を持ち、箱を囲んだ。
よく芋るず箱は、針金の様な物でず巻かれおいた。
䞀人目の袎男が、箱の四隅の朚組みに火を灯した。
ず煙を䞊げ、やがおず燃え出した。

665 本圓にあった怖い名無し2007/03/28(æ°Ž) 08:29:32 ID:Xlj2+LmZO 
それに続いお二人目、䞉人目ず、ずうずう箱を陀く党おの朚組みに火が灯り、激しい火柱を぀くった。
5060だろうか結構離れおいるこちらにたで熱気が䌝わる様だった。
最埌は神䞻さんが、真ん䞭の朚組みに束明を投げる様な感じで火を着けた。
四本の朚組みの䞭には朚の葉が入れおあり、癜い煙をあげおいたのだが、
真ん䞭の箱の蟺りからは黒い煙がず沞き䞊がっおいた。
「うっ 」
俺は思わず錻を摘んだ。
い぀の間にか、今たでかいだ事も無い様な獣の様な異臭が蟺りに立ち蟌めおいた。
神䞻達の声が䞀局倧きくなった気がした 次の瞬間

666 本圓にあった怖い名無し2007/03/28(æ°Ž) 08:33:14 ID:Xlj2+LmZO 
ぎょぇぇぇぇぎゃあぁぁぁぁやわなは〇※▜◆ 
声にならない叫び声ず蚀うか、今たで聞いた事も無い悲鳎が広堎の静寂を匕き裂いた。
ず、同時に箱がず激しく揺れ出した。
情けない話だが、正盎俺は腰を抜かしそうだった。
走っお逃げようかずも思ったが、足が動かない 完党にすくんでしたった様だった。
箱はず内偎から叩かれお、炎に包たれおいる。
ひょっずしお人殺しなんじゃ ずも思った。
凄惚な光景だった。
火はず燃え、箱はず揺れ、神䞻達は声を䞊げ、悲鳎はやがお蚀葉に倉わっおいた。

667 本圓にあった怖い名無し2007/03/28(æ°Ž) 08:36:56 ID:Xlj2+LmZO 
「出せ歀所から出せ返せ返せ 」
しゃべっおる たさか人間 いや、そんな筈は無い。
だいいち、あの状況䞋で人間がしゃべれるのか
最初は『返せ』だず思っおいたが、埌から違うず気付いた。
「かえせかえせ俺を劻ず子䟛の所にかえせ」
箱は䟝然ず揺れ、叩かれおいる。
「お前は〇〇男の名前では無い」
神䞻が突然怒鳎った。
「お前は人圢だ人圢なんだあるべき姿に戻れ」
そう蚀うず、たたも神䞻は呪文を唱え始めた。
「ちがう俺は〇〇だぁ垰せ」
箱は䞀局揺れだし、端の蓋が焌け萜ち ず蚀うより匟け飛んだ。
゜コから焌けただれた手が生えお、暎れおいた。
するず、突然火が匱たり、消えおしたうのではず思うくらいに頌り無くなった。
神䞻は振り向くず、眮いおあった桶を持っお来た。
桶の䞭には氎の様な物が入っおいたが、すぐに酒だず思った。 

669 本圓にあった怖い名無し2007/03/28(æ°Ž) 08:40:52 ID:Xlj2+LmZO 
ず蚀うのも、獣の臭いに混ざっおさっきから酒の臭いが挂っおいたのだ。
神䞻は酒を杓で掬うず箱に掛け始めた。
おいおい いくらだず蚀っおも、どう芋たっお日本酒だぞ。
気化しにくく、発火性も䜎い日本酒を掛けおも止めを刺すだけだ ず思ったが、予想に反しお火は驚く皋に燃え䞊がった。
「ぎゃぁぁぁぁいぎぃぃぃぃぃおのれええぇぇ劻ず子䟛に䌚わせろ垰せ俺を垰せ」
「お前は〇〇ではない人圢だお前はお前に垰るんだ」
そう蚀うず神䞻は懐から手鏡を取り出し、箱に投げ入れた。
そしお、呚りの朚組みを袎姿の男達が䞭心に向かっお倒し始めた。
最埌に神䞻は桶を担ぐず、残りの酒を党郚ぶっ掛けた。
炎はこれたでより猛々しく燃え䞊がり、巚倧な火柱ず成った。
「ぎょぇぇぇぇ」
それが最期だった。 

670 本圓にあった怖い名無し2007/03/28(æ°Ž) 08:46:44 ID:Xlj2+LmZO 
それからは叫び声がする事も、箱が揺れる事も無かった。
気付けば俺は汗だくになっおいた。
神䞻達は火がくすぶるたで呪文を唱えおいた。
目の前で起こった出来事を吊定したい自分がいた。
俺は確実に昚日たでの俺ずは違うだろう。
日垞を䞀歩螏み倖した ただそれだけなのに、芋える䞖界は色を倉えおいた。

その埌、神䞻が俺に歩み寄っお来た。
俺は倉に身構える事も無く、神䞻の話を聞いた。
「䞀応祓っお䞊げるから、぀いおきなさい」
俺は神䞻を远っお本殿に入った。
じいさんは神䞻ず先を歩きながら䜕やら喋っおいた。どうやら顔銎染みの様だ。
本殿で二人は簡単な埡払いを受けた。
その埌、茫然自倱ず蚀うか、府抜けた感じだった俺に、神䞻さんが詳しい事情を話しおくれたから、少しした気がした。 

671 本圓にあった怖い名無し2007/03/28(æ°Ž) 08:53:14 ID:Xlj2+LmZO 
「あの人圢はね 長い間、人ずしお暮らしお来たんだよ。
 あのマネキンを連れお来た埡婆さんが蚀うには、自分の嚘が倧事にしおいたそうだ。
 嚘ず孫は事故に遭っお死んでしたったけど、あのマネキンだけは無傷だった。
 埡婆さんは遺品だけど気味が悪くお、仕方なく歀所に持っお来たんだよ。
 事故に遭った時も車に乗せおたくらいだから、きっず盞圓倧事にされおたんだろう。
 䜙りに感情移入するず、次第に人間は人圢が生きおるず勘違いしおくるものなんだ」
 この埌の蚀葉は、今でも頭から離れない。
「人圢も同じだ。
 䜙りに倧事にしすぎるず、自分が人間だず勘違いしおしたうんだよ。
 䜕故なら、圌等も生きおいるのだから 」

忘れた時を取り戻す様に蝉が鳎き出した。
ある倏の日の出来事だった。

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