【怖い話】暗室

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死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?177より

777 :本当にあった怖い名無し:2007/09/28(金) 18:07:31 ID:cddhPkk60
みなさんは『学校の七不思議』なるものを覚えているだろうか? 
学校にまつわる怪談が七つあって、全部知ってしまうと死ぬとか、そんな類のものである。 
俺の通っていた小学校にも七不思議があった。
ただ、大概はまったく信憑性の無い、というより既存の話を羅列しただけのものだった。 
トイレの花子さんとか、理科室の人体模型とか、赤マントとかね。 
しかし、そんな我が母校に、一つだけオリジナルの七不思議があった。 
それがこれから話す『暗室』の話である。
少々長くなると予想されるので、面倒な人はスルーしてくれて構わない。 
今でも俺はこの事件がトラウマで、真っ暗な部屋では眠れないw 

さて、その暗室の話とは、超簡潔にまとめると、
「午後3時35分に、その部屋の中からノックするような音が聞こえる。 
 これにノックを返してしまうと、『暗室』の中に引きずり込まれる」
というものなのだが、一応以下にその詳細を書いておく 

778 :本当にあった怖い名無し:2007/09/28(金) 18:09:51 ID:cddhPkk60
昔、まだ体罰なんかが普通に実施されていた頃、この小学校にとても厳しいTという先生がいた。 
T先生は授業中にうるさくしたり、何かいけないことをした児童を罰する時、
決まってある部屋に閉じ込めるということをした。 
その部屋は特別な暗室で、窓は無く、ドアも小窓のついていない鉄製のもので、内側に鍵がついていなかった。 
このため、児童を中に閉じ込めると、外から鍵を開けない限り外に出ることはできない。 
照明のスイッチは外にあるため、完全な暗闇の中に放置されることになる。 
小学生にしてみればこの罰はかなり厳しく、酷なものであった。 

ある時、T先生が叱った児童の中に、暗所恐怖症の男の子がいた。 
T先生はいつものようにこの子を暗室に閉じ込めようとしたが、少年は狂ったように暴れてなかなかうまくいかない。
それでもなんとか無理矢理部屋に押し込んで鍵をかけると、中からドアを「ドンドン!」と激しく叩く音がした。 
T先生はそのまま何事もなかったかのように仕事に戻った。 

ようやくT先生が少年を開放しに行くと、部屋の中央で彼は冷たくなっていた。 
少年はショックで嘔吐しており、その際に喉がつまり窒息死していたのだ。 
当然子供の両親は、学校とT先生を激しく糾弾し、結局先生は小学校を辞めることとなった。 

779 :本当にあった怖い名無し:2007/09/28(金) 18:10:45 ID:cddhPkk60
T先生が辞めた後、その暗室が使われることはなくなった。 
児童も他の先生達も、気味悪がって近寄ることすらしない。 

やがてその部屋の存在すら忘れられかけた頃、ある日を境に、部屋から凄まじい腐臭が発せられるようになった。 
T先生を知る何人かの教職員は、まさかと思い、児童が全員帰宅した後で部屋を開けた。 
案の定そこには、首を吊って天井からぶら下がる、腐乱したT先生の遺体があった。
床には遺書。自殺だった。
しかし、一つだけ奇妙なことがあった。
先ほど説明したように、この部屋には内側に鍵が無い。
にもかかわらず、部屋の鍵は閉まっていたのである。 

そんな奇妙な自殺騒動が収まらぬうちに、今度は学校中で不気味な噂が流れ出した。 
「ある時刻になると、あの部屋のドアが、バンバンと物凄い勢いで内側から叩かれている」 
実際、児童だけでなく、先生や用務員の人達の中にもこれを体験した人はおり、 
特に同じ1階に休憩室のある用務員の人たちはかなり怯えていた。 

そしてついにある日、犠牲者が出た。校舎内で、Aという児童が忽然と姿を消したのである。 
1時間後、彼は全身を震わせながら、暗室のドアの前に座り込んでいた。その体からは酷い腐臭がした。 
以来、
「あの部屋では死んだ少年が閉じ込められた時刻、すなわち3時35分になると、 
 ドアを激しく叩く音がし、それに答えてしまうと中に引きずり込まれ、閉じ込められてしまう」
という噂が、児童たちの間でささやかれるようになったのである・・・ 

780 :本当にあった怖い名無し:2007/09/28(金) 18:12:16 ID:cddhPkk60
さて、話を俺の小学生時代に戻そう。 

実を言うとこの暗室、俺が小学校に上がった頃には、すでに存在しない部屋となっていた。 
いや、別に取り壊されたとかそういうことじゃない。
ただ、暗室のドアがあったと思しき場所は、コンクリートで完全に塞がれ、壁と同じように塗られていた。 
もちろん、学校の間取り図にも、暗室らしき部屋の存在は記されていない。 
文字通り存在しない部屋というわけだ。知らない人から見れば、ドアがあった場所などただの壁である。 
ただ、後から塞いだドアの跡は、よく見ればはっきりとわかったし、
実際、他の児童たちの間でもその場所は有名だった。 

そんな存在しない部屋の正体を掴もうなどと、少々無茶な提案をしてきたのは、
当時の俺の友達で、小学生の分際でオカルト好きという変人の、Hという女の子だった。 
Hいわく、「何かあった時に男手があった方が心強いから」ということらしい。
別に俺、そんなに頑強な少年じゃなかったけどね。
俺自身は、特にその話自体に興味はなかったのだが、なんとなく二つ返事でOKしてしまった。 
こうして謎の部屋の正体を掴むべく、俺とHは動き出したわけである。 

壁の向こうからノックのような音が聞こえてくるのが、3時35分だったため、 
俺達は5限で授業が終わる日を選んで実行することにした。 
ノックが聞こえるかどうかを確かめ、聞こえたらそれに答えてみよう。というのがHの意見だった。
「おいおいそれってマズいんじゃなかったっけ?」と俺。
「そのためにアンタを呼んだんでしょ」とH。

781 :本当にあった怖い名無し:2007/09/28(金) 18:13:08 ID:cddhPkk60
そして、あっという間に時間は過ぎ、3時35分になった。 
と同時に、俺とHが「お」と小さく呟く。 
・・・ドン・・・・ドンドン・・ドン・・・・・ 
微かに壁の向こうから音がする。
ノックと形容するには激しすぎる。
むしろ中に閉じ込められた少年が、死に物狂いで助けを求めるかのような・・・ 
音に聞き入ったまま動けずにいると、Hがいつの間にか壁の正面に立っていた。右手を軽く上げる。 
「おい・・・」という俺の制止は無視され、Hは二、三度軽く壁をノックする。 
途端にピタッと音が止んだ。放課後の廊下に静寂が戻る。奇妙に感じるほどの静寂が。 
と次の瞬間、壁が真っ黒になっていた。 
否、コンクリートの壁が、そしてその奥にあるはずのドアが、消失していた。 
真っ黒に見えたのは中にある、いや、あったかもしれない部屋が完全な闇だからだ。 
外からの光すら飲み込んでしまう闇。
何年も、いや、何十年もの間、決して光が当たることのなかった部屋と、そこに閉じ込められていた『何か』の慟哭。
闇の奥底から響いてくる壮絶な悲鳴と、Hの悲鳴が聞こえてきたのは、ほぼ同じタイミングだった。 

782 :本当にあった怖い名無し:2007/09/28(金) 18:14:10 ID:cddhPkk60
Hは部屋に引きずり込まれそうになっていた。闇の淵からHの脚を掴んでいるのは腐乱した手。成人男性の手だ。 
Hも俺も、そして闇の中の何かも悲鳴を上げ絶叫していた。
しかし、他の大人たちが駆けつけてくる気配はない。 
あるいは、先刻の静寂の時点でおかしいと気づくべきだったのかもしれない。 
しかし、そんなことを考えている余裕はなかった。 
何しろ、目の前でHが引きずり込まれようとしているのだ。形容しがたい恐怖が俺を襲った。 
とっさにHの腕を掴み、逆に引っ張った。脚と腕の引っ張り合い。 
当然Hは痛そうで、そして怖そうな顔をしていた。 
やがて男の腕はふくらはぎからくるぶしへと滑り、足首を掴んだかと思うと今度は靴を掴み、 
最後には靴が脚から抜けて闇の中へと吸い込まれていった。 
慟哭が破壊的なまでに強くなった気がした。 

そして気がつくと俺とHは、
コンクリートで塞がれた、かつて部屋があったかもしれない場所の前で、二人して泣いていた。 
時刻は3時36分。どうやら二人とも、運良く引きずり込まれずに済んだようだった。 
Hの靴は片方なくなっていたが。

二人して泣きまくっているのに気がついた用務員のオバサンが、俺達に近づいてきた。 
そして俺達から数メートルほどのところでふと立ち止まって、顔をしかめたかと思うと、 
今度は見る見るうちに顔が青ざめていく。
そして大急ぎで職員室へと駆けていき、やがて俺達の周りは人でいっぱいになった。

その後のことは俺もよく覚えていない。 
大泣きしていたし、周りの人たちはなにやら騒ぎまくってるし。 
ただすぐに温かい飲み物が差し出されて、それ飲んで安心したのは覚えてる。 
あと、救急車で病院に運ばれたことも。 

783 :本当にあった怖い名無し:2007/09/28(金) 18:15:39 ID:cddhPkk60
俺とHは、しばらくの間入院することになった。外傷は二人ともなかったが、精神のケアのためだ。 
入院中、担任の先生と両親、それから年配の男の人が面会に来た。
担任は男を、「昔小学校にいた先生だよ」と紹介した。 
両親はすでに話を聞かされているらしく、男が話を始めると、そそくさと部屋から出ていった。 
彼は俺とHに、俺達の見たものはおそらく現実だということ。
しかし、きっと夢や幻と考えた方が、この先悩んだり苦しんだりしなくて済むだろうから、
そう考えなさいということ。 
もう面白半分で、あの部屋で起こったことを語ってはいけないということ。 
そして、あの部屋で一体何が起こったのか。その全てを話してくれた。 

俺達は神妙になってその話を聞き、
そして彼の言葉通り、その後学校に戻っても、
二度と暗室に近寄ることもしなければ、話すこともしなかった。 

これでこの話はおしまい。長文でしかも大したオチもなくマジでスマソ。 
ちなみに俺は、中学からは東京の方に引っ越して、(たぶん親も怖かったんだろうなw) 
そのまま高校も大学も東京の学校に行ったので、その後あの『暗室』がどうなったかは知らない。 
ただ、最近その小学校の名前でググッてみたら、校舎の様相が俺のいた頃と完全に変わっていたので、
たぶん改装したか、あるいは校舎を移したかなんかしたんだと思う。 

ただ、いまだに真っ暗闇な部屋は怖い。さすがに当時ほどではなくなったけどね。 
あとHいわく、「アレはとにかく寒くて寒くて仕方がなかった」んだそうな。

あ、ちなみに、七不思議で語られてる、部屋の噂に関する真偽のほどは俺も知らん。 
ただ、その部屋で児童が死んだってのは確かみたい。 
閉じ込められた少年の恨みがT先生も巻き込んだのか、それとも元から何かよくない部屋だったのか。 
あるいはその両方かもしれんね。

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