死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?1より
331 :名無し:2000/08/18(金) 17:56
4年ほど前、売れない漫画家をしていたときに、
某マイナー系の雑誌でそこそこに人気のあった漫画家さんのところに、
3日間という約束でアシスタントをしに行ったときの話です。
引っ越したばかりの、狭いながらも新築で綺麗で清潔そうなマンションで、
その漫画家先生も修羅場の割には穏やかだし、先輩のアシスタントも気さくで良い人たちで、
とても気持ち良く仕事が出来ました…2日目の夜までは。
2日目の夜。皆で眠い目と脳を熱い日本茶で覚ましつつ、少し休憩していた時のことです。
誰かがその部屋に元からついているという有線をつけ、ちょっと懐かしめの歌が聞こえるチャンネルに合わせました。
皆疲れているので、無言でそれを聞いていました。
すると、音が大きくなったり、雑音混じりに小さくなったり…。
「かえって気になって仕事にならないね」と漫画家先生が消しに立ち上がった瞬間、
「てすと」と、滑舌の良いはっきりした子供の声がしたんです。
全員「?」と漫画家先生の方を見ましたが、先生は首を振るだけ。
「聞こえたよね?」と誰かが言うと、「混線したんじゃない?」と誰かが答え、
先生は有線を消して、皆で仕事に戻りました。
それから緊張の続く中、1時間ほど作業をしていると、
今度は天井の方から「てすと」というさっきと同じ声がして、
続けざまに、隣に座っていた先輩アシスタントの後ろの壁、私の足元に同じ声が…。
それでも手は離せない私達アシは、震える手を無理に押さえて、叫びたいのを我慢して仕事をしていました。
しばらく間があいて、またあの声が聞こえました。
それと同時に、先生が悲鳴をあげて飛び上がりました。
「肩に抱きついてる!」
先生は懸命に背中のモノを振り払おうとしましたが、
それでもその最中に「てすと」という滑舌のいい子供の声が、本当に先生の方から何度も聞こえました。
生まれて初めてそういうモノを見た私は、恥ずかしながら気絶をしてしまったようで、その後の騒動は覚えていません。
(目が覚めたら、他のアシスタント達はなにもなかったように、電話の応対をしていたり、朝食を作ったりしていましたが、
先生は寝室から出てきませんでした。
ちなみに私のギャラは、ちゃんと日払いでいただきました(笑))
332 :名無し(331):2000/08/18(金) 17:57
ただ、その先生は、その号の原稿を落としただけじゃなく、そのまま連載も休載から打ち切りになり、
最近では見かけなくなりました。
『消えた漫画家』なんてサイトで時々見かける人ですが、どうか誰かは詮索しないでください。
これがここ数年の一番のしこりでした。
やっと人目に晒せて、いくらか浄化されたような気がします。
あの先生もアシスタントの皆も、無事に過ごしていますように。
コメント