死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?103より
262 :女友達の話:2005/07/14(木) 07:15:43 ID:BsJseOfc0
怖いと言うか気持ち悪い話。
細かい会話とかは覚えてないので適当だが……
俺の中学時代からの女友達の話。仮に佳織としておく。
もともと小学校も同じで、五年、六年と同じクラスだったが、話すことなんてなかった。
もともと一人でいることのほうが多い子だったと思う。
中学に進んで、同じ小学校から来た奴で、同じクラスになったのが佳織ともう一人しかいなくて、
席も近かったことから話し掛けたことが、佳織と友人になるきっかけだった。
そのうち、もう一人の同じ小学校から来た奴(仮に順一とする)ともよく話すようになり、
俺と佳織と順一は、三人グループっぽくなった。
佳織と仲良くなってしばらくして、自分の家のこととか話題にしたら、佳織も自分の家のことを話した。
佳織は母方が、中部のどこぞの田舎の神社の宮司の家系で、
父方は、北日本のある地方の豪農(今はわりと落ちぶれているらしい)の出身。
この一族も、行者とかになる人が多かったらしい。
「なんかすげえな。じゃあお前、見えたりするの?霊とかw」
「見えるよ」
「(……まじかよ)……どんなの見えるの?」
「ふざけて言うことじゃないし……」
佳織はそれ以上話してくれなかった。
いつまでたってもその手のことは話さなかったので、冗談かなとも思ったけど、
ある日、冗談ではないことがわかった。
263 :女友達の話:2005/07/14(木) 07:16:50 ID:BsJseOfc0
佳織と友人同士になってから、何ヶ月かたった二月。
バレンタインで、俺は別のクラスの女子からチョコレートをもらい、めちゃ嬉しくて佳織や順一に自慢していた。
「やったー。もらっちゃったよ。俺、実は初めてだったりするんだけど」
「いいなー。俺も欲しいよ、ホント」
「あのさ……広志くん(俺の仮名)……それ、食べない方がいいと思う」
「え?」
「ちょっと、やばいと言うか……気持ち悪いよ、それ」
いきなり佳織が変なこと言い出したんで、俺も順一もわけわからんという感じだった。
「え?なにそれ?どゆこと?」
「なんかね、強すぎる。……本人に悪気はないと思うけど、けっこう色々いれて、
なんて言うのかな……呪いみたいになっちゃってるよ。体壊すかもしれない」
「はぁ?お前、何言ってるの?」
せっかくもらったチョコレートと、それをくれた人をけなされてるみたいで、俺はちょっと腹を立てて、佳織と喧嘩しかけたけど、
順一が「まあまあ」と止めてくれて、結局俺の家で、チョコレートのうち何粒かを溶かしてみることになった。
十粒くらいあったやつのうち、三粒とって溶かしてみたんだけど、ぎょえっという感じだった。
二つからは、ほんの少しだけど、細かく切った髪の毛みたいなものが出てきたのだ。
あとの一つからは特に何も出なかったんだけど、ずっと湯煎して溶かしていると、そのうち変な臭いがしてきた。
「?何これ?これもなんか入ってるの?」
「……わからないけど、血かな?ひょっとしたら生理のかも。でもそれ以外かも」
俺も順一も気持ち悪くてたまらなかった。
結局チョコレートは、くれた人には悪いけど全部捨てることにした。
佳織は呪いとか言ってたけど、それ以前に体に悪そうなので。
佳織は見ただけで、中に何か入っているということがわかったわけで、
俺も順一も、佳織の「見えるよ」を信用するようになった。
264 :女友達の話:2005/07/14(木) 07:17:56 ID:BsJseOfc0
さらにそれから一年ほど経った中学二年の十二月、冬休みの少し前のことだった。
俺と佳織は同じクラスのままで、相変わらず結構話してたけど、順一は別のクラスになっていた。
ある日の放課後、久しぶりに順一と会って話していたら、佳織も昇降口にちょうど降りてきて、
三人で帰るかということになった。
俺と順一は適当に話していたけど、佳織はあまり話さず、何か様子がおかしいなと思っていたら、
順一と途中で別れたとたんに、「うえぇっ」と小さく声をだしてうずくまってしまった。
「おい!佳織!どうしたんだよ!?」
佳織は口をおさえて、涙を流していた。
「どうしよう……広志君……どうしよ。順一君、死んじゃうかも……ぅえっ……」
「は?な、何言ってるんだよ。ちょっと落ち着け。気持ち悪いんか?」
「どうしよう……」
「どうしようって……何なの、一体?」
「……順一君はやってないだろうから、多分親戚とかだと思うけど……人殺してるよ。ここ最近で。
すごい恨まれてる。多分順一君にもまわってきちゃうよ……死んじゃうかも」
「……」
げーげー吐きながら言う佳織の背中をなでながら、以前のこともあり、俺はかなりびびっていた。
でもまさかそんな……という気持ちも強かった。
たまに通りかかる人が変な目で見てたので、この日は佳織を落ち着かせて帰った。
夜に佳織から電話があった。
「明日、順一君の身につけているものを、持ってきて欲しいんだけど……できればシャツとか」
「え?何に使うの、それ?」
「明日私学校休むけど、広志君。
学校終わったら順一君のシャツ持って、○○公園(近くの森林公園。さびれてる)に来てくれないかな。
絶対に持ってきてね。絶対」
「ああ……?」
何かわからないうちに頼まれてしまったけど、帰りのこともあったし、言う通りにしてみた。
シャツとかなんて、どうやって手に入れようかと思ったが、
体育着を忘れたことにして借りて、洗って返すということで手に入れた。
森林公園では佳織が待っていて、俺が体育着を持ってきたことを確認すると、
「こっち」と、林の中につれていった。
265 :女友達の話:2005/07/14(木) 07:19:14 ID:BsJseOfc0
ちょっと歩くと、葉の落ちた木がたくさん生えていて不気味だった。
さらに不気味なことに、つれてかれた林の中の広場みたいなところに、
ちょっと大きめのハンマーとダンボール箱が置かれてて、
箱の中から猫(それも複数)の泣き声が聞こえてきていた。
「佳織、何あれ?猫?」
「うん……」
ダンボールを開けると、猫が四匹(野良猫っぽかったけど、わからん)入っていた。
「ねえ、何するの?一体」
「……これから、順一君の身代わりを作ろうとおもってるの。……お願い!手伝って!」
「な、何?身代わりって?わかんねー」
「大丈夫、すぐ終わるし。広志君に頼むのは簡単なことだから」
とりあえず言う通りにしてみた。
言われたことは本当に簡単で、順一の体育着に猫を一匹、着せるようにして包み、
地面に抑えるようにしていてくれ、ということだった。
「それで、順一君はここにいるって、強く思って。声に出しながらがいいかな……多分」
「ああ。わかったけど……」
体育着にくるまれて、くぐもった声をあげる猫を抑えつけ、言われた通りにした。
「ちゃんと抑えててね」
「え?佳織、それ……」
俺が猫を抑えると、佳織が置いてあったハンマーを持って、いきなり振り上げた。
一瞬だった。ボキャッと嫌な音がして、猫は鳴かなくなっていた。
体育着にくるんでいたおかげで、どうなっているか見えなかったが、
頭のあった辺りがどんどん血に染まっていて、しゃれにならなかった。
「お、おま、何、おえっ!えっ!」
「待って!まだ我慢して!」
俺が吐きそうになっていると、佳織は猫を体育着の中からずるりと取り出して、次の猫をくるんでいた。
地面に置かれた死んだ猫は、頭が見事に砕けていて、たまに痙攣していて、
それが見えてとうとう俺は吐いてしまった。
266 :女友達の話:2005/07/14(木) 07:20:00 ID:BsJseOfc0
「お願いだから、おさえてて。順一君のためなんだから」
「む、無理……無理……」
「……じゃあ、さっき言った通り、頭の中で思うことだけやって。
あと、目は閉じないで、この体育着をちゃんと見てて」
「わ、わかった……」
俺の見てる前で、佳織は足で猫の前足を踏みつけるようにして抑えつけ、今度は三度ハンマーを振るった。
腹がつぶれた猫が地面に置かれた。体育着から取り出す時に、佳織の手には血がついてしまっていた。
さらに次に地面に並んだのは、四本の脚を砕かれた猫。
またその次も同じで、この二匹は凄い鳴き声を上げても生きていた。
最後の方、俺はもう見ていることが出来なくて、本気で怖くて、佳織に何度か注意されたけど目をそらしていた。
佳織はその後、掘ってあった穴に全部の猫を放り込んで、埋めてしまった。(まだ生きてた二匹も)
これは俺も手伝った。
「最後の方、ちゃんと見てなかったでしょ?」
「見れないよ。あんなの意味あんのかよ?やばいって!どう考えても……」
「意味あるよ。……あると思う。手足は上手くいったかわからないけど、頭と体は多分大丈夫になったから」
俺と佳織は森林公園から出ると、ほとんど話さないまま家に帰った。血がしみた体育着は、佳織が持ち帰った。
それから冬休みになるまで、俺は佳織と口をきかなかった。
別に順一に何の変化もなかったし、あの猫は殺し損というか、佳織は単にやばい奴だったと思ったりした。
猟奇趣味に付き合わされただけなんじゃないか、と思った。
267 :女友達の話:2005/07/14(木) 07:30:12 ID:BsJseOfc0
でもやっぱり、佳織は単に危ない奴じゃなかった。
冬休み中に、順一は父方の実家に家族で里帰りして、火事に遭った。両親と親戚が、何人か亡くなったらしい。
妹さんも重体でやばかったけど、命は取り留めた。
順一はというと、腕に少し重い火傷を負っただけで済んだ。
俺がこのことを知ったのは、冬休みが終わってからだった。
順一は、難を逃れた伯父夫婦の家に引き取られることになったけど、
さらに二週間位して、その伯父さんが遺書を残して自殺。
遺書には人を殺したうんぬんが書かれていて、後日、死亡のまま逮捕だか送検だかされた。
順一の家の近くに住んでた人で、俺も見知っていただけに、これにはホントに驚いた。
順一はすごいショックを受けたようで、見てるのも気の毒だった。
順一はその数日後、ずっと遠くの親戚に引き取られ、三学期はじまって間もないうちに引っ越していった。
佳織の言っていたことは的中していたわけで、俺は佳織とまた話すようになり、ごめんと謝った。
佳織は別に怒ってないと言ってくれたが、俺の質問には嫌がって答えてくれなくて、
一年くらいしてようやく、このとき何をしたのか話してくれた。
なんか、いろいろ祟りとか、呪いの原理(彼女なりの理解だと言っていた)を話してくれた。
要は、思い込みの力らしい。
今回は猫を順一の体に見たてて、俺たちがそう思い込むことで、祟ろうとしてる奴をだまして、
あの森林公園で怨みを受けたことにして、順一本人は助かったと言う。
他にも何か言ってたけど、良くわからなかった。
というわけで俺は、呪いとか祟りとか術とか、そう言うのは確実にあると思う。
実際こういうのを見てしまったわけだし。
俺は「もし俺が死にそうだったら、隠さずに教えてくれ」といって、佳織と友達でいた。
それからもいろいろ変な目にあったけど、今も実はかなり仲の良い方の友人かもしれない。
多分、佳織がやばい奴であることに変わりはないんだろうな、とは思うが。
あと、猫は直視できなくなった。
269 :女友達の話:2005/07/14(木) 07:35:25 ID:BsJseOfc0
おわり。
猫好きの人にはアレな話だったかと思うけど、
いや、ホントに呪いとかはあるよ。
278 :本当にあった怖い名無し:2005/07/14(木) 09:13:40 ID:y4clCpWc0
>佳織タン
もし見ただけで何でも当てるようなヤシが居たら、刑事も鑑識もイラネーな。
裁判所も弁護士も要らない。「この人、殺人者でーす、死刑ね。ハイ次の被告」みたいな。
そういう便利な能力?を、人類がなぜか有効活用してこなかったという事実が、
①そんな能力はそもそも無い。
②仮にあるとしても誤答率が高すぎて実用に耐えない。
などを示しているかと思われ。
天文官や天候占いの呪術師が、気象予報士に職を奪われて全滅したが如し。
279 :269:2005/07/14(木) 09:33:06 ID:BsJseOfc0
>>278
確かに佳織も、「自信があるか、よっぽどまずいことになる時にしか言わない」とは言っていた。
順一もただクラスで話す程度の仲だったら、死のうが生きようが放っておいたらしい。
仲が良かったから何とかする気になって、俺に話したんだと。
確度に差はあるようだったけど、俺に話すときはほぼ何か(言っていることと少しずれても)起こったから、俺は信じている。
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