【怖い話】神父と女幽霊

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死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?214より

797 :始:2009/06/10(水) 14:29:17 ID:IfhlA3fV0
高校がミッションスクールだったんで、聖書の授業とかあったワケです。
で、北斗の次男にソックリなんで「トキ様」と呼ばれたイケ面神父と、
上品な関西訛りのタヌキ顔神父の二人が担当しておられた。
トキ様の前じゃ猫かぶってる女子高生どもだが、タヌキ神父にはけっこう生意気言ってました。

それで授業中、三体合体もとい三位一体とか魂の不滅がどうとかやってる時に、
「で、神父様は霊魂をじっさい見られたことあるんですかあ?」
などとブシツケな質問かましたんですね私ら。
すると、
「ええありますね。わたくしがまだ神学生の時のできごとです」
おお?いい方向に予想外の反応!私らは身をのりだした。

当時わたくしは学校の寮に入っておりましたが、
その日は大晦日で、わたくしと寮長様(この方も神父)を除いては、みなさん帰省しておられました。

わたくしは早々に床についたのですが、夜半、何かの気配を感じめざめました。
…枕元に若い女性が立っておられました。
髪をふりみだし服は血にまみれて、あきらかに生きた人間とは思えません。
そうしてわたくしをじっと見おろしているのです。
このような出来事は生まれて初めてだったわたくしは、もうどうしてよいかわからず、
「マリア様、お助けください、マリア様!」と、ただただ祈るばかりでした。
(↑大阪人の最終兵器は、やっぱ“オカン”なのだなあと思った)

すると祈りが通じたのか、すぅー…とその姿は薄れて消えました。
もちろんその後眠るなどとてもできず、寮長様の部屋に泡をくって駆け込みました。
わたくしの話を寮長様は黙って聞いておられましたが、深くうなずくとこうおっしゃいました。
「私もその方にお会いしたことがあります」

798 :続:2009/06/10(水) 14:30:07 ID:IfhlA3fV0
「十年ほど昔の、今日と同じ大晦日の深夜でした。
 自室で書き物をしていた私は、寮の玄関がギイと開く音を耳にしてはっとしました。
 私ひとりという気のゆるみから、夜の見まわりと施錠をおろそかにしていたのです。
 このような時間、ノックもせず入ってくるような人が、教会の方や寮生ではありますまい。
 おそらく良からぬ心得の者でしょう。
 しかし、通報しようにも電話は玄関の脇です。
 ほぞをかむ思いで、部屋の扉ごしに廊下の物音をうかがっておりましたが、
 盗人にしては、その様子があまりに異常であることに気づいたのです。
 ガリ ガリリ  ぜぇぜぇ  ひゅう ひゅう ガリッ  ざりり  ひゅう う うう
 壁を掻く音。荒い呼吸音。引きずるような足音。
 盗人などではありません。そもそもこれは人なのでしょうか?
 野犬かとも考えたのですが、ときおり聞こえる呻き声は、あきらかに獣とはちがっていました。
 その得体の知れない物音は、しだいにこちらへと近づいてきます。
 私は逃げることも声を出すこともできずに、じりじりと扉からあとずさりました。
 いま、この寮で灯りがついているのは、私の部屋だけです。
 戸の隙間からもれる光めざして、廊下の『あれ』はやってきているのです。
(私ら「…あの、神父様、寮の部屋に鍵は」「ついてませんでした」)
 すこしづつ、すこしづつ、爪音とうめき声、ひきずる足音が私の部屋、いえ、私めざしてやってきます。

 とうとう、それは扉一枚へだてたむこうにたどりつきました。
 がりがりがりがり ガリッ ガガガ がりッ
 無茶苦茶に引っかく音がします。ドアノブに気づかないのでしょうか?
 願わくばそのまま気づかないでくれ!あきらめてどこかへいってくれ!

 音がやみました。
 あきらめた…?

 がちり
 ノブがゆっくりと廻りました」

799 :終:2009/06/10(水) 14:30:50 ID:IfhlA3fV0
「扉が開いたその時、お恥ずかしいことですが、私は腰を抜かして座り込んでしまいました。
 凄まじい形相の、服を血でまだらに染めた女性がそこに立っていたのです。
 彼女は口や鼻から血を垂らしながら、こちらに2、3歩ふらふらとよろめいて倒れました。
 そこでやっと私は、自分が大変なあやまちをおかしてしまった事に気がつきました。

 その方は生きておられたのです。
 大晦日の深夜、誰もいない神学校の構内で、彼女は農薬をあおって自殺をはかったのです。
 しかし、あまりの苦しさに、唯一灯りのついていた建物…学生寮に助けを求めたのです。
 薬でのどが灼け、声も出せず、這いずるようにして。
 死装束のつもりだったであろう白いワンピースは、吐いた血と泥で汚れ、裂け、
 苦悶のあまりあちこちをかきむしった爪は、はがれかかっておりました。

 すぐさま救急車をよびました。
 しかし、手遅れでした。
 助けられたかも知れないのに、私が臆病風に吹かれてしまったばかりに…

 祈りましょう。彼女のさまよえる魂の救済を。
 そして、わたしたちの心の弱さの克服を」

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