【怖い話】むこうがわ

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死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?30より

824 :暇人:03/03/15 21:26
Aという男がいた。世間からの評判の良い彼だったが、他人に言えない秘密があった。
それはネットを渡り歩いては、グロ映像等の猟奇系のHPを覗き見る、という趣味だった。
より過激な内容のHPを求めて、Aはより奥深くネット世界をすすんだ。
そしてあるHPへたどり着いた。

それは、ただ真っ白な画面に『むこうがわ』とだけ書かれた、そっけないHPだった。
閲覧しようとすると、『こっちへ きたいのか』とメッセージが表示された。
Aは深く考えず“yes”と答え、『むこうがわ』へ足を踏み入れた。

825 :暇人:03/03/15 21:27
そこはAがかつて見たこともない過激な映像が、幾つものページに分かれて表示されていた。
常人ならば一目で目を背け、悪夢にうなされるような、おぞましいもので溢れていた。
Aは『むこうがわ』の虜となった。
彼を熱中させる要素の一つに、
ランダムに現れる『もっと こっちへきたいのか』というメッセージの存在があった。
“yes”と答えると、それまで現れなかったさらに過激なページが表示された。

唯一同じ趣味を持つ悪友Bに、『むこうがわ』のことを教えると、Bもまた虜となった。
彼等はさらに奥へと、『むこうがわ』へ進んでいった。

826 :暇人:03/03/15 21:28
そうして『むこうがわ』の深淵へと進んだAは、『もどき』と題されたページにたどり着いた。
内容は、何処かの一室を音声付リアルタイムで中継しており、そこにはある“モノ”が居た。
その姿は胎児が胎内での、爬虫類から補乳類への進化の過程中に生み出され、
そのまま成長したかのような“ヒトもどき”がそこに居た。
“もどき”はそこに監禁されており、
時々覆面の男が現れて、食事を与え、掃除し、気まぐれに暴力をふるい、犯していった。
Aはその禁断の映像に釘付けとなり、繰り返し『もどき』を覗き見た。

827 :暇人:03/03/15 21:29
ある時Aは、覆面が時折漏らす言葉が日本語で、Aがよく知る地方の方言だと気づく。
そのことは、彼を現実へと引き戻した。
「これは今、日本で実際に行われている現実の出来事だ」
Aは急に恐ろしくなり、『むこうがわ』へのアクセスを止め、
『むこうがわ』のURLと内容を書いた匿名のメールを警察へと送った。

ふと気になってBへ電話してみると、彼はA以上に『むこうがわ』に没頭しており、止める気配はない。
そのせいか、Bの話には支離滅裂な部分が目立つようになり、薄気味悪くなったAはBとの連絡を絶った。

828 :暇人:03/03/15 21:29
数ヶ月後、一通のメールがAに届いた。差出人は政府公安の研究部からだった。
それによると、その部署は昨今急増する異常者による犯罪を未然に発見、防止を目的とし、
その為の研究と実験に取り組んでいて、その一環としと作成したのが『むこうがわ』だった。
あれは異常者を見つけ出すための“エサ”で、アクセスした者はIDを洗われ監視される。
更に、『むこうがわ』への進度、閲覧したページの内容等により、“10”から“0”までのランク付けがされる。
そのランクに応じて、対象者への処置が行われるという。
Aはそれまでの経過に加えて、アクセスを止めたこと、警察へ通報したこと等により、“5”という評価だった。
メールには、今回のことはあくまで実験であり、実生活への影響が無いことと、
実験への協力への感謝の言葉で締められていた。

監視されていたことに驚愕するA。
だが、何より気になったのは、ランク評価に対する処置に関する記述だった。
“4”以下には特に処置無しだが、“3”より要注意人物とされ、“2”では監視が付くようになり、“1”で強制入院となる。
そして、その上の“0”については、一切記述されていなかった。

胸騒ぎのしたAは、Bと連絡を取ろうとした。
しかし、如何なる記録を検索しても、連絡先はおろか、Bという人間は存在すらしていないこととなっていた。
Bのランクは、果たして何番だったのだろうか・・・

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