死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?63より
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俺が小学の頃だったかな・・・。
季節は8月くらい、夏休みの終わりの頃だった。
俺の故郷は海の近くで、海岸線には堤防がある。
その堤防の近くの土手で、よく仲間と遊んでいたものだった。
その日は夏休みももうすぐ終わろうとしている頃で、
俺達はスケボーを持ち出して、その堤防の土手の近くでスケボーをしていた。
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しばらくたって俺は喉が渇いたんで、近くの自販機までジュースを買いにいった。
他の仲間達はまだ土手でスケボーしているのが、自販機のとこからでも見えた。
ジュースを買って土手のところまで戻っている途中、ふと気づいたんだ。
・・・仲間の一人がいない。
俺はそいつがいないことを他の仲間に言った。
「Yがいないみたいなんだけど」
すると他の仲間は皆知らないみたいで、
「さっきまで確かにいたんだけどなぁ」って感じで、どこにいったのか知らないみたいだった。
その時間、海は満潮で、風も強く波は荒れていた。
海に落ちたりしていたのなら大変なことになる。
そう思った俺らは、急いでYを探し始めた。
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土手の下は草が覆い茂っていて、ひどいところでは人の背丈にもなる。
そこをかき分けて、仲間と一緒にYの名前を叫びながら探していた。
そして、仲間の一人の声が聞こえたんだ。
「いたぞーーーー!!」
俺達はその声がしたところに急いで駆けつけた。
そこにはYが倒れていて、そのそばに叫んだ仲間の姿があった。
Yの顔は真っ青で、左の足首を押さえてうずくまっていた。
顔中汗でぐっしょりで、うわごとのようになにかブツブツ言っている。
俺達は、これはただごとじゃぁないって感じて、
すぐそいつをチャリに乗せて、近くの病院に連れて行き、Yの両親に連絡をとった。
Yは複雑骨折だった。
それが不思議な事に、骨が縦に砕けているような感じだったそうだ。
Yの両親からお礼を言われて、俺達は家に帰った。
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二学期を迎えて、最初の日曜日。
俺はそのとき一緒だった仲間と共に、Yが倒れていた草むらを探検しに行った。
なぜあんなところにYは倒れていたのか?
なぜあんな怪我をしたのだろうか?
・・・・ちょっとした探偵のような気分だった。
しばらく見て回ったのだが、何も見つからなかった。
一緒に探索していた仲間は飽きてきたらしく、土手に行ってスケボーをし始めた。俺もそろそろ飽きてきた。
その時だった。
Yが倒れていた場所の少し向こうに、草が生えていないところを見つけた。
近づくと、そこは何かを燃やした後のようで、炭になったものが山のように重ねられていた。
ゴムが焼けたような嫌な匂いがした。
近づいて、ゆっくりとそれらを観察してみた。
全身に鳥肌が立つのが分かった。
それらはすべて人形だった。
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京人形のようだった気がする。
切れ長の目や小さな唇が真っ黒に焼け焦げていた。
その人形が全部で50・・・いや、もっとあったような気がする。
ひとつだけその山から手前に落ちていた人形が目にとまった。
その人形の左足首が真っ黒に焦げて溶け落ちていた。
あまりにも恐ろしくて、その人形のことは仲間にも言わなかった。
ただ早く家に帰りたくて、仲間をせかしてその場を離れた。
帰宅して、両親にその事を話してみた。
両親は最初笑いながら聞いていたが、俺が人形を見たというあたりで顔つきが険しくなった。
俺は両親から静かにある事を聞かされた。
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俺の住んでいる町は昔、海だったこと。それを干拓して埋め立てたこと。
その作業は当時は大変で、多くの人間が犠牲となったこと。
犠牲となった人たちを供養するために、神社に人形をそのつど奉納していたこと。
人形を奉納していた神社は今は朽ち果てて、誰も訪れる人がいなくなってしまったこと。
そしてその神社が、俺達がスケボーして遊んでいたあの土手の直ぐ近くにあるということ。
誰があの人形をあの場所で燃やしていたのかは分からない。
あの時なにがあったのかをYに聞いても、口を閉ざして何も話さなくなってしまう。
あれからずいぶんと長い時間が流れたが、俺は今でも人形が嫌いだ。
たとえどのような人形でも、あの時のことを思い出してしまうから。
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