【世界の怖い話】行先不明

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ミャンマーのお話

その日、カフェのテラス席でお茶を飲んでいたOさんは確かに見た。

店の前に停めてあったトラックの荷台がギッと音を立てて沈むのを。荷台には誰もいない。何もない。ただギッ、ギッと音が鳴る度に少しずつ沈む。それが数分続いた。

その時、カフェの向かいの墓地では「死者の引っ越し」が行われていた。

墓地を更地にしてマンションが建てられることになり、建設に先立ち霊を移動させるための儀式が行われていたのだ。隣町から呼ばれた一人の僧侶と一台の大型バス。僧侶が墓地に棲まう死者たちを呼び寄せバスに乗せ、新たな墓地へと輸送する。儀式はそのような流れだったという。

僧侶が墓地の扉の前に立ち、死者たちへ向けて祈りの言葉を捧げる。そして集めた死者たちを墓地にぴったりと横付けしてあるバスに乗せるために扉を開ける。

それがまさに、トラックの荷台が沈んだ瞬間だった。

Oさんと同じカフェにいた運転手はトラックの異変に気が付いた様子もなく、コーヒーを飲み干すと運転席にさっと戻って間もなくどこかへと去って行った。

死者たちは、一体どこに辿り着いたのだろう。

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